箪笥の中で出番を待ち焦がれている着物たち ~岩手県一関市・和とわ総本店 着付け教室~
こんにちは。
一関市の「和とわ総本店」で着付け教室の講師をさせていただいております藤江です。
9月になり、やっと朝晩涼しさを感じるようになってきました。
夏は嫌いではないのですが、さすがに今年の暑さは厳しいものがありました。
悲しみの中の辻が花
先日、70歳の若さで天国に旅立たれた方のお話をさせていただきたいと思います。
この方は和とわの会員様でもあり、私が着付け教室の講師をしているということで、会うとよく着物談義になりました。
確か1年ほど前のこと、甥子さんの結婚式に着物を着たいと話され、辻が花の豪華な着物と、それに合わせた帯や襦袢一式を見せていただきました。
淡い桃色の地色で、絞りの技法が優雅でたおやかな、本当に見事な辻が花の紋様でした。
購入時のエピソードなどを楽しそうに話しながら、
「これは私の宝物なんだよね、この組み合わせどうかな?」と言い、
さらに「沢山あるけどね…今度見せようか」
と気持ちの良い自慢話に花が咲いたのでした。
メンテナンスで新品同様に!
その着物は2回ほど袖を通されたということでしたが、メンテナンスに出していなかったこともあり半襟には汚れが残ったまま……。
「この半襟は洗って付け直したほうがよろしいですよ」と話すと、
「針仕事は苦手だし、この際新しい半襟を付けようかな」ということで、
お預かりしお店で付け替えたのでした。
この機会に、着用後はメンテナンスに出すことをお勧めして納期を確認してみると23年1月ということで結構ぎりぎりでした。
その後メンテナンスから戻ってきた着物をお届けしたところ
「きれい、新品になった、宝物がぴかぴか輝いている……。」
と嬉しそうな笑顔が思い出されます。
何歳からでも大丈夫
「私、もう70歳だけど着付け習おうかな? 興味はあるけどなかなかね……。覚えられるかな?」と話されました。
「まだ70でしょ、何歳になっても大丈夫、思い立ったが吉日ですよ。」
「ゴムのベルトだし紐は使わないので苦しくないわよ。」
と、こんな会話をしながら「この私でも?」とポンとお腹をたたいておどけられたのでした。
その結婚式で撮られた素敵な笑顔は、悲しくも遺影となって祭壇に飾られていたのでした。
どうか安らかにとご冥福を祈るのみでした。
箪笥の中で出番を待ち焦がれている着物たち
しつけ糸も取らず、袖も通さずの着物があったとか、見たこともない柄の着物があったとか、このような色の着物、私絶対着ないのに箪笥に入っていたのとか……。
つい笑ってしまう話を友達から聞かされたことがあります。
実は私にも、しつけ糸も取らず、袖も通さず、いつかは出番が来るものと、じっとその日を待っている訪問着があります。
しかもメンテナンスの期限切れのままで……。
子どもたちの成長とともに晴れの日を思いながら仕立てた着物ですが、子どもたちは経費削減、スマートな生活を邁進しているのでちょっと期待はずれ。
たとう紙の紐をほどき眺めてはまた箪笥の中へしまってはという状態です。
【2023年3月24日ブログ 初詣/新年会/卒業式/入学式で着る着物 目的に応じた私の着物選び】
この秋は和服データの確認作業
秋は虫干しに適している季節です。
この機会に箪笥を開けて眠り続けている着物や帯など、私なりに作っているデータを(メンテナンス期限もチェックしながら)見直してみようと思っています。
衣装敷きの端っこの三角って何?
当然ご存知の方もいらっしゃるとは思うのですが、「衣装敷きの端っこ三角」の役目についてお話しします。
これは着付けのレッスン中にも時々説明させて頂くことです。
大分前のことです。
お世話になっている美容室の先生が、着付けの最中に糸屑を見つけて衣装敷きの三角の中に入れたのです。
それでその三角は何かを尋ねたように覚えています。
先生は、「表、裏の目安にはなるけれど、役目的には身近なゴミ入れね。」と教えてくださいました。
なるほど理にかなっていると思ったのでした。
今になると聞いておいて良かったと思うのです。
実は受け売りの知識ですが…
着付け教室でも生徒さんの中には衣装敷きに、表、裏と書き込んでいる方もいらっしゃいます。
また「この三角って何か意味あるのでしょうか?」と尋ねられることもあります。
“待ってました。良くぞ聞いてくださいました”とばかりに張り切って説明させていただくのですが、
「実はこれは受け売りなんですね……。」とも付け加えます。
「分かってきた」が増えるのは楽しいです
分かるために努力する、好きなことならなおのこと、少しずつでも勉強していくことが大切と思っています。
ささやかな知識ながら、着付け教室のレッスンで生徒さん方にお伝えできることが増えるように、そして「楽しい」を感じていただけるように努力していきたいと思います。
【2022年3月5日ブログ 一関市で自分で着物を着てみたい方へ 和とわ 着付け教室の楽しみ3つ】
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秋は色々な行事があり着物を着る機会も増えてきますね (^^)/
「自分で着物を着てみたい!」そんな方は↓
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和レッスンは、岩手県一関市の「和とわ総本店」が運営する着付け教室です。
「和とわ総本店」は江戸時代から9代続く老舗呉服店です。
地域密着型店舗として、一関市、お隣奥州市や宮城県栗原市、登米市、気仙沼市などから沢山のお客様にお越しいただいております。
「和のある豊かな人生を永遠に応援し続けます」をモットーに、ベテランスタッフから写真スタジオスタッフまで総勢25名体制で皆様のご来店、心よりお待ち申し上げます。