着物は宝物/士乎路紬のお話 ~岩手県一関市 和とわ総本店 着付け教室~
こんにちは。一関市の「和とわ総本店」で着付け教室の講師をさせて頂いております藤江です。
10月になりました。近頃はめっきり肌寒く、身軽になってきているカレンダーを見ては「月日の過ぎ去るのが何故にこんなに早い」とため息をついたり独り言を漏らしたり…。
敬老の日の出来事
先日敬老の日、自治会で当祝者への記念品配布のお手伝いをさせていただいた時のことです。
80歳以上の大先輩のお宅にお伺いし、記念品をお渡しし、お祝いを申し上げるや否や
「あら、恵喜子ちゃん? 久しぶりだね。入って話し語りしていって。」
とマスクをしての訪問なのに認識して頂けたことに驚きました。
ある方は「恵喜子ちゃん何歳になった?」と聞いてきます。
「〇〇になったよ」と話すと「そんなになったの?」と驚かれてしまいました。
そう言うあなたも敬老の日の記念品をいただくくらいお年を重ねているのですよ、と私は心の中でつぶやきながら……。
父の同級生だったり、母の友達だったり、いまだに皆さんの中では私もまだまだ娘っ子のレベルなのでしょうね。
思い出話や近況を話していただいたりと、20分もあれば廻れるところを2時間近くもかかって帰宅。
田舎の近所ってすごく遠いんだなぁってつくづく感じてしまいました。
着物って「宝物」です
あるお宅のお母さんが、私が「和とわ」で着付け教室のお仕事をさせていただいていることを知って、
「あら、私ね、ずっと昔だけど高橋屋さんで着物つくったんだよ、立派なものだよ。今は新しいお店になって美味しいパン屋さんもやっているんだよね。」
「懐かしいなぁ、この年になって着ることなんかないけど宝物だね。さっきまで真っ黒い顔して大股で歩いていてもさ、着物着る時はさ、粉箱から出て来たみたいに顔真っ白くして、ちょこちょこ歩きになって別の人になったみたいでさ、あっはっはっは…。ところで見せっぺが…、立派な紬もあるんだよ」と。
お話しを伺いたい気持ちもあったのですが、まだお渡しするお宅が残っていたので「またの機会にね。」とお断りして次のお宅へと足を進めました。
「着物は宝物」…高級・高価ということだけではなく、人生の中でその着物に出会い、袖を通した特別な日であったことも含め「宝物」と話されているのだろうと感じました。
普段仕事をしていると、なかなか地域の大先輩方とお話しすることはありませんが、
パワフルな方々のお話は展開が面白く、元気を頂けるなあと感じた次第でした。
ちょっと紬の話を…
皆様もご存知の通り紬はどんなに高級・高価であっても格のある装いにはならない、いわゆる普段着の括りとなります。
しかしお洒落着ということで人気があり、袋帯よし、当然名古屋帯、そして半幅帯などを締め、楽しみ方をアレンジできる着物なのだと思います。
となれば、やっぱり好きにコーディネートをし自分で着られるようになることが一番。
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紬は日本各県の産地で昔から大事に守り紡がれ、そして現代に受け継がれています。
耳馴染みのあるところでは結城紬、大島紬、塩沢紬、牛首紬、米沢紬、琉球紬等など、催事にお伺いした際に素晴らしい技法などを説明いただきながら、職人さん方の素晴らしいお仕事に感心させられます。
士乎路(しおじ)紬
ところで「士乎路(しおじ)紬」という名前…耳にしたことはありますか?
「士乎路」とは能登半島の昔の呼び名(別称)で、半島の入口、羽咋(はくい)の近くで生み出され名づけられた紬だということです。
実は私も数年前に知った名前です。
ある出会いからその名を知った訳ですが、地味に井桁絣(いげたがすり)です。
でも風合いがいい…とっても。
「士乎路紬」は水島繁三郎というひとりの高分子工学の専門家が研究を重ね、昔ながらの技法に科学的な工夫を加えて創作され、昭和50年春に完成した歴史的には新しいものだそうです。
結城と大島の二大紬の良さの融合というべきもので、現代のものは配色も鮮やかでお洒落着として人気が増してきているということです。
「士乎路紬」とは、“麻伝統と科学のハーモニーで生み出された紬の芸術品”
というタイトルがついている詳しい内容の文書を頂いていたので掻い摘んでご紹介いたしました。
「着物で旅行」叶えてみたいことです
いつの日か紬産地を巡る旅、当然着物で。
ゆっくり京都旅行もいいですね。
着付け教室の生徒さん方も一緒だったら楽しいでしょうね。
大事な着物だからこそ、いつまでも大切に楽しく着られるように、そして自分の「宝物」として残していければと思っています。
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和レッスンは、岩手県一関市の「和とわ総本店」が運営する着付け教室です。
「和とわ総本店」は江戸時代から9代続く老舗呉服店です。
地域密着型店舗として、一関市、お隣奥州市や宮城県栗原市、登米市、気仙沼市などから沢山のお客様にお越しいただいております。
「和のある豊かな人生を永遠に応援し続けます」をモットーに、ベテランスタッフから写真スタジオスタッフまで総勢25名体制で皆様のご来店、心よりお待ち申し上げます。