家族の葬儀に喪服(着物)を着ました ~岩手県一関市・和とわ総本店着付け教室~
こんにちは、一関市和とわ総本店の着付け教室で講師をさせて頂いております鈴木真由美です。
いつもの年と変わらず美しい桜が咲き春がやってきましたが 我が家は大きな変化がありました。
少し前に夫の母を見送りました。
九十九歳、大往生でした。
寝たきりとかではなく昨年の今頃は自分の足で歩いていました、敬老会にも歩いて(車椅子ではない)参加出来ていました。
百歳を目前にとうとう力尽きたのでしょうか。
少しというか大変残念でした。
箪笥の喪服が気になりだした頃
母がなんとなく調子を崩し始めたころの家族の気持ちは少し休んで時間がたてばまた元気になるだろうと疑いませんでした。
よく考えたら九十九歳ですよ。
もしかしたらとかありうるのに全く考えなかったのです。
そう信じて疑わなかったのですが私は心の隅でなんとなく喪服が気になり始めました。
箪笥の中でしまいっぱなしです。
どうなっているだろう。
カビが生えているのではないだろうか。と。
数年前 和とわ総本店で「模擬結婚式」という催しが開催されその時に自分のフォーマルな着物をチェックしたつもり。
しかしそれからも数年経っています。
母は徐々に弱っていきました。
そんな中私はますます箪笥の喪服が気になりはじめました。
しかし母の具合が悪くなればなるほど喪服を出して見てみるなんて出来なくなりました。
だってあってほしくないことを予想しているようでためらわれて出来ませんでした。
その時は突然やってきました。
そして葬儀が執り行われることになりました。
私の喪服事情
私は結婚するときに喪服一式を買い揃えたかったのですが、
実家の母を亡くして間もない私には喪服を買う事は不幸を呼ぶ様な風に感じられ縁起が悪く思えて買うことが出来ませんでした。
しかしそのことは 後々大変後悔しました。
その後数年おきに経験することになる近い身内の葬儀に必ず必要になることはわかりきっていましたから。
だからと言って何もない時に、それこそ縁起が悪くて喪服を買うなんて出来ませんでした。
結局夫の父の葬儀の後すぐに買い揃えることになりました。
実際にその葬儀には間に合うはずもなく着物を着ることが前提の私はそれまで大変不自由する事になったというわけです。
喪主の妻は忙しい
夫の母が亡くなっても私はすぐに喪服を出して見るという事も出来ませんでした。
悲しんでいる暇もなく色々とやることがあり、やっと箪笥から喪服を引っ張り出したのは火葬の前日の夜でした。(一関は火葬、通夜、葬儀の順で行われます)
どうやらカビはない様子。
襦袢の半衿に汚れはないと確認、帯も大丈夫。
黒の帯揚げ、黒の帯締め、黒の草履。
どうやら大丈夫そうなので安心しましたが、本当にひやひやしました。
平常心を保てませんでした
ご家族は少し早めに来てくださいとのことでしたので早めに着始めましたが、なぜなのかいつも通りに上手く着ることができませんでした。
喪服の難しいところは、家紋(前に二つ後ろに三つ)が付いているところ。
その前部分の家紋が胸の左右同じ高さにあり、当然のように同じ高さに仕上げなければいけません。
それが簡単そうで難しいのです。
三回着直ししました。
いつも通りに着れば大丈夫だと思いながら、なかなかきれいに仕上がらず戸惑いました。
あの封筒を確かにポケットにしまったとか誰さんにあのことを伝えるとか、鏡を前にして頭では別の事を考えている。
そんな状態でした。
全く 平常心を欠いていたと思います。
同じ和とわ総本店の着付け教室のお仲間の鈴木喜代先生がお父さんの葬儀の時にお母さんに「さすがに着付けの先生だね」と誉められたと以前ブログに載せておられたのを思い出しましたが、私は全く自分の喪服の着姿に自身がありませんでした。
喪服は身内のお葬式や法事、その他にはほぼ出番のない着物です
この着物は私のこの日(今は)のために仕立てられた着物です。
そして同居していた夫の母は私の着付け講師の仕事を理解して応援してくれました。
優しかった夫の母のためにも、着るべきだと思ったし、たくさんの人の手を経て仕上げられたこの喪服のためにも着てあげなければ着物がかわいそうだと思いました。
葬儀に着物を着ようと思われている方へ
喪服は時折確認しておきましょう。
家族に何か異変が起きてからでは私のように喪服を取り出して見ることがしづらくなります。
喪服にカビが生えていたという話も時々耳にします。
半衿が汚れてないか。
衿抜き用の布やゴムがちゃんとついているか等、せっかく着物を用意していたのに着られないのは残念ですから。
私の子供が葬儀を経験した感想
子供と言っても小学生ではありません。
いい大人です。
ですが身内の葬儀は(幼少期を除き)初めてです。
「本当に普段してはいけないことをお葬式ではするんだなと思った」そうです。
「例えば?」と聞いたところ「ご飯にお箸をさす」とか「箸と箸で物をもってはいけない」とか「立ち結び」とか。
それを葬儀ではするんだなと。(良い経験になったのではないでしょうか)
そうですね。
これらのことは普段厳しくやってはいけないと言われているし、お葬式の時だけする行為ですものね。
私も帯締めの房を挟む時「お葬式の時は房は下に向けます」と教室ではいつも話しているのに 普段しないことですからつい本当にやってよいのか確認してしまいました。
喪服を持ってきて練習してもよいですよ
和とわ総本店の着付け教室では喪服一式を持参されて練習をされる方も結構おられます。
反対に留袖の練習をされる方もおられます。
つまり自分が着こなしたいと思うお着物を持ってきて練習していいんです。
せっかく親が嫁入り道具に持たせてくれた着物を着こなしたいと思われたなら、是非練習にお持ちください。
たまにチェックをかねて箪笥から出して空気に当てることは着物の為にも良いそうですよ。
(最高のメンテナンスと聞いたことがあります。)
着たい着物を自由に持ってきて練習できるそれが一関和とわ総本店の着付け教室なんです(勿論 生徒さんに貸し出し用もございます)。
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帯を前で結ぶ「前結び着付け教室」は大変ご好評をいただいております。
次回着付け教室のスタートは
2025年6月7日を予定しております。
土曜日コースは6月7日(土)18:30から
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火曜日コースは6月10日(火)10:30から
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和レッスンは、岩手県一関市の「和とわ総本店」が運営する着付け教室です。
「和とわ総本店」は江戸時代から9代続く老舗呉服店です。
地域密着型店舗として、一関市、お隣奥州市や宮城県栗原市、登米市、気仙沼市などから沢山のお客様にお越しいただいております。
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